発表・掲載日:2023/05/31

SNSで現れた関東もう1社の大物平面研磨

知る人ぞ知る難加工の「駆け込み寺」ーー中央精研

 町工場総研のSTORY004「半導体支える大物平面研磨はもう関東に3社しかない」は2023年5月16日に記事をアップすると、広く関心を寄せていただき閲覧数が伸び、Googleの「平面研磨 大物」検索結果で1ページ目に載るほどになりました。ありがとうございます。
そして、記事を読んだ金型の町工場から「中央精研さんもできるのでは」とSNS経由で情報が寄せられました。

高精度な研磨のため工場内は室温を一定に保つ

高精度な研磨のため工場内は室温を一定に保つ

価格競争に乗らず、サブミクロン狙う

 中央精研は1965年に研磨専業として埼玉県川口市に会社を設立。周辺が宅地化したことや道路の振動が激しくなったことから、2006年に本社と工場を現在のさいたま市岩槻区に移転・集約した。広々とした工場内には、長さ4,000×幅1,000mmを筆頭に3,000×800mmクラスの平面研削盤が並ぶ。
 工場の室温は一定に保たれ、ワークを固定したまま傾けられるロータリー式の治具を自前で作るなど、高精度な加工のためにさまざまな工夫や対策が凝らされている。社員数20人、機械のクセまで把握するため、機械ごとに担当者を決めている。
 3代目の田中俊之社長は現在42歳。大学を卒業するとすぐ、2代目の父(田中俊美会長)が成長させた会社に入社した。量産品の価格競争には参加せず「高精度・高難易度の製品を高付加価値でという理念で経営してきた」(田中社長)という。顧客は半導体関連など幅広く、大規模な天体望遠鏡計画で反射ミラー関連の研磨を担当したこともある。顧客が予算と時間をかけても希望するならサブミクロンの精度に挑むこともあるという同社は、業界では知る人ぞ知る駆け込み寺のような存在だった。

自由な角度にワークを傾ける治具を自社製作

自由な角度にワークを傾ける治具を自社製作

SNSが町工場の発見とネットワーク化に威力

 大物に対応する研磨専業の小さな町工場は、数が少なくネットの検索ではなかなか出てこない。町工場総研では今回の取材にあたり、リアルワールドで関係者にヒアリングするとともに、町工場総研のTwitterおよびFacebookで以下のように呼びかけた。

   「長さ1.5mを超える大物の平面研磨」に対応する町工場が減ってしまい
   関東地方では「もはや1〜2社しかない」という説も。
   畑下研磨さん(綾瀬市)と神永研磨さん(大田区)以外に
   ご存知でしたらご紹介ください。(他の本業用の大型研削盤自社保有は除きます)

 最初の記事に登場する3社のうち、京浜技研工業は同業の町工場からSNSを通じて情報提供いただくとともに、ネット検索結果の下層で発見して取材につながった。今回の中央精研も埼玉県川口市時代からの仲間の町工場からSNSで情報をいただいた形だ。経営者は人脈を大切にするためSNSを活用する町工場は多く、多数の町工場がゆるくつながる「町工場Twitter」と呼んでも良いようなネットワークが存在する。SEO対策に手が回らない町工場をネットワークの海から発見するのに、SNSは有効なツールとなっている。
 中央精研の田中社長は「研磨はあまり横のつながりがない。うちができない仕事は、記事に登場した会社さんを紹介したい」と、いわゆる『仲間まわし』を考えている。SNSで信頼できる町工場同士がつながれば、簡易な『デジタル仲間まわし』になるかもしれない。

株式会社 中央精研
所在地:埼玉県さいたま市岩槻区大字鹿室341−1
代表者:代表取締役 田中俊之
設 立:1965年
社員数:20人
株式会社 中央精研ホームページは、こちらから。



*この4社のほかに大物対応可能な関東の研磨専業町工場をご存知の方、ぜひご連絡ください。取材してレポートに追加します。
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